アメリカ大学入試において重要といわれるエッセイ。共通プラットフォームであるCommon Appによる2024-25受験年のエッセイプロンプト(エッセイのお題)についてご紹介します。
【目次】
アメリカ大学入試におけるエッセイの役割
アメリカの大学入試においてエッセイは、評価の割合として20%~30%のウェイトを占めるということがいわれています。
エッセイは、大学により求めるもの、見るポイントは異なりますが、多くの大学、特にトップスクールは、とにかく、出願者の人間像を知りたい、ということを言い、あらゆる角度から人物の核心を掘り出そうとする質問を投げかけてきます。(これに対して、あまりランクの高くない大学では、とりあえずライティングの力があるか、ということを見て、内容についてはあまり問わないこともあります。)
高校での成績、課外活動や推薦状、などは既に過去のもので、受験年なってどうにもできない部分もありますが、エッセイだけは、最後まで自分でコントロールがきき、いかようにも仕上げることができます。
成績や課外活動の履歴からでは語り切れない自分を思い残すことなくアピールできるようにしましょう。多少、成績が見劣りしても、エッセイが素晴らしければ挽回できるチャンスがあります。
アメリカ大学入試で必要となるエッセイの種類
アメリカの大学入試ではほとんどがCommon Application(Common App)またはCoalition for Collegeという共通のプラットフォームを使用して、出願書類やエッセイを提出します。
提出するエッセイとしては、共通プラットフォームが出すお題の中から一つ選んで出すPersonal Statementと、大学ごとのSuuplemental Essayとなります。多くの大学ではSupplemental Essayを要求しますが、まったく要求しない大学もありそれぞれです。従って、受験する大学の数が増えれば増えるほどエッセイにかける負担は大きくなります。
Personal Statementでは、自身の経験などから自分自身について語ることになります。
Common Appのエッセイプロンプト
それでは、メジャーなプラットフォームであるCoomn Appで、どんなことがエッセイで聞かれるのか、ご紹介したいと思います。
1,Some students have a background, identity, interest, or talent that is so meaningful they believe their application would be incomplete without it. If this sounds like you, then please share your story.
“学生により、そのバックグラウンド、アイデンティティ、興味、または才能が非常に重要で、それを含めないと出願が完全でないと考える場合があります。もしそうであるなら、あなたのストーリーを共有してください。”
これは自由記載に等しいお題ですね。他の出願資料では言えなかったことについて、是非とも大学側に知って欲しいということがある場合は、こちらで書きます。
トピックは無数にありますが、例えば下記のようなものです。
家庭の出来事、家族構成による影響、祖父母や親戚との関係
どのような学校にいったか、どのような教育を受けたか
特に自分になくてはならない興味・関心・才能
トピックは無数にありえますが、だからこそ、どのトピックを選ぶかが大事です。
トピックは羅列するのではなく、トピックを一つに絞りそれを深く記載します。
ただし、一つの事情が影響したから、この関心が芽生えた、といったコンテクストであれば複数のトピックになっても大丈夫です。
気を付けるのは、そういうことがあります、ありました、だけで終わるのではなく、だから今自分はこうなったのだ、ということまで必ず書かなければなりません。
大学入試の審査官もよく、"So what?"と思わせるような内容は評価されない、と言っています。
思いつくトピックは、とてもちっぽけな気がしてきて何を書けばいいかわからない、ということもあるかもしれません。ですが、例えば、年の離れた弟の面倒を幼い頃から見てきたから、教育に興味をもった、というようなとても身近なトピックでよいのです。
大事なのは自分軸です。自分にとって本当に影響が大きい要素を探し出しましょう。
2. The lessons we take from obstacles we encounter can be fundamental to later success. Recount a time when you faced a challenge, setback, or failure. How did it affect you, and what did you learn from the experience?
”直面した障害から得る教訓は、後の成功の基礎になり得ます。あなたが挑戦や、挫折、または失敗に直面したときのことを思い出してください。それらの経験があなたにどのような影響を与え、そこから何を学びましたか?”
失敗や障害からいかに乗り越えたか、というストーリーをアメリカの大学は大変好みます。その人のメンタル面、問題解決能力が如実にわかるからです。友人関係、家族内の話、部活での話、いろいろと思い出してみましょう。自分の考え方が変わるきっかけとなった出来事、はっとさせられた出来事を思い出しましょう。
何でもよいといいつつも、例えば、普段の学校の試験で失敗したとか、ささいな失敗や誰にでも起こる失敗について書くのは避けます。何かしらの自分らしさを加えられる内容にします。
3.Reflect on a time when you questioned or challenged a belief or idea. What prompted your thinking? What was the outcome?
”あなたが信念や考えを疑問に思った時または立ち向かった時のことを振り返ってください。何でそのように考えたのですか?その結果はどうなりましたか?”
この質問は、7題のお題の中でも最も難しいものでしょう。以前は、“Challenged a belief”だけだったのですが、"Questioned"も加わったことで、多少広がりを持てるようになりました。それでも、自分の信念などについて語るため、650語で記載するのは難しく、よっぽど書きたいという思いがない限り避けられるトピックです。
自分の信念を明確に述べつつ、それに固執することなく、異なった信念にも柔軟に分析することができる、そのようなことを明確に表現できれば大変評価されるでしょう。
クラスで自分の意見が少数派だったときはないか?友達と意見がぶつかったことがないか?両親と価値観が対立したことがないか?自分が大切にしている価値観は何か?
といったことを考えてみましょう。
4. Reflect on something that someone has done for you that has made you happy or thankful in a surprising way. How has this gratitude affected or motivated you?
“誰かがあなたのためにしてくれたことで、驚くほど幸せや感謝の気持ちを感じたことについて振り返ってください。この感謝の気持ちはあなたにどのような影響を与え、またはどのようにあなたは刺激されましたか?”
これはとてもポジティブで好まれるお題ですね。ですが、"surprising way"や”affect" "motivate"という言葉に注意しなければなりません。
そして、この質問も結局は、ある出来事(誰かがあなたに対してやってくれたこと)で、あなたがどう変わったのか、ということを聞いています。
他者への感謝、他者への配慮、といった切り口で受験生の人とのかかわり方、そして価値観がわかります。
いろいろな出来事が思いつくかもしれませんが、その出来事が究極的にはあなたの信念や今の熱意に影響しているものを選択しましょう。
5. Discuss an accomplishment, event, or realization that sparked a period of personal growth and a new understanding of yourself or others.
"あなたの成長または自分や他者の新たな理解をもたらした成果、出来事、または気付きについて話してください。"
このお題も書きやすいでしょう。"Accomplishment" "Event"という言葉が使われていることから、比較的小さな出来事から、大きなことの達成でも、どのレベルのものも書いてよいことになります。
課外活動でリストアップしたものの中から一番書きたいこと、知ってもらいたいことについて書くのもよいでしょう。ただ、課外活動欄で記載したらある程度つたわるだろうと思える場合は、あえてその話にせず、もっと身近なしかしあなたらしさが出ているトピックを選ぶのもおすすめです。大きな話でなくても、身近なストーリーの方がむしろユニークになる場合もあります。
6. Describe a topic, idea, or concept you find so engaging that it makes you lose all track of time. Why does it captivate you? What or who do you turn to when you want to learn more?
”あなたが非常に興味をそそられ、時間を忘れてしまうほど夢中になる話題、アイデア、または概念について説明してください。それはなぜあなたを魅了するのですか?さらに学びたいとき、あなたは誰または何に頼りますか?”
自身の具体的経験を盛り込みつつ、大学で学ぶ熱意、知的好奇心の高さをあらわすことができます。Prompt1とも重なりますが、自分も好きなこと、という面もあります。
熱中する科目はあるか?特にどの分野が好きか?
つい目がとまって読んでしまうニュースは?
将来こんな事業をしたい、会社をつくりたい、サービスを提供したい、商品を作りたい、という夢はあるか?
話し出したらとまらない大好きな趣味は?
いかに熱意を持って熱く語れるかでこのプロンプトを選択するかを考えましょう。
7.Share an essay on any topic of your choice. It can be one you've already written, one that responds to a different prompt, or one of your own design.
“任意のトピックについてエッセイを共有してください。それはすでに書いたものであっても、別のプロンプトに応じたものであっても、自分自身のデザインによるものであってもかまいません。”
このプロンプトは、2017-18年の受験年で追加されました。プロンプト1でもだいぶ自由記載ができるのですが、こちらの題目でさらに自由度が高まりました。
上記1~6のプロンプトのカテゴリーに入らないけれども、どうしても審査官たちに知ってもらいたいことを書きます。忘れてはならないのは、大学で学びたいという思いにつながるコアな部分を書くことです。
Essay Prompts は毎年変更されるわけではない
実は、Common Appで発表されるエッセイのお題は毎年変更されるわけではありません。2024年-25年受験(2025年秋入学)のプロンプトは、昨年と同じものです。
ちなみにですが、最後にこれらのお題に変更があったのは、2021-22年の出願サイクル時です。
上記4番の質問が新たに加えられました。
そして、なくなった質問は下記で、問題解決能力や知的好奇心を問うものです。
Describe a problem you’ve solved or a problem you’d like to solve. It can be an intellectual challenge, a research query, an ethical dilemma—anything that is of personal importance, no matter the scale. Explain its significance to you and what steps you took or could be taken to identify a solution.
この変更の背景には、パンデミック直後で社会が不安定だったときに、精神面やSocial well -beingが重要になってきたことがあります。このように時代の変化や各方面からのフィードバックを参考に必要に応じて変更されます。
どうトピックを決めるか
トピックの決め方たくさんのプロンプトを前に、これを書きたい、とすぐにピンとくる生徒様もいれば、何を書いたらよいか途方に暮れる方もいらっしゃると思います。
どちらだとしても、一度、自分の内面、経験の洗い出しをします。ささいなことも、おそれず書き出します。そうすると、ストーリーが見えてくることがあります。
そのようにして、自分がどういう人間なのか掘り下げて考え、アピールしたいことについては熱情をもって表現できるトピックは何か、どのトピックがご自分をアピールするのに適切か、そしてどのプロンプトに適切かを、じっくりと分析しなければなりません。
数年かけた入念な準備が必要
このような出題では、出願シーズンが始まってから慌てて自分の経験を振り返っても、該当するエピソードがない、あっても忘れているということになり、まずネタを探すのに一苦労します。
実際には、普通の高校生で安定した生活をしていると、明らかに考え方を変えるようなインパクトの大きい事件というものはそうはないものです。
ですが、細かい出来事を拾っていくと実はあれが考え方に影響していると思い当たることがでてきます。そんな細かいことも覚えていられるように、何かあれば記録しておくことをおすすめします。
また、Common Appがプロンプトを毎年変えないの理由の一つとして、プロンプトを安定させることで受験生たちが前もって準備することができ、負担を減らし、自分を十分にあらわすエッセイを書いて欲しいというところにあります。
ですから、早い時期からこのようなことが問われるということを頭の片隅において、日々過ごすことが大切です。
IESでは、生徒様のご興味特性に応じて、ストーリーを策定し、長い時間をかけて、課外活動の積み上げをし、プロフィールを作りあげていきます。
受験が近い生徒様には、エッセイのトピック整理、効果的なアピールの仕方をアドバイスして、納得するまでエッセイを仕上げます。お気軽にご相談ください。