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米国ボーディングスクール留学手記:いよいよ入寮

受験は何事もそうですが、合格はゴールではなく、その後が大切です。ですが、合格後については意外と情報がないものです。こちらでは、実際に名門ボーディングスクールに合格されが方の合格から入学後までの手記を連載でご紹介しています。


  1. いよいよアメリカ入り


4月10日の入学校最終決定の後、割と早いタイミングで、入寮の日のお知らせがきます。まずアスリートの人たちは授業スタートの1週間ほど前に寮に戻り、練習を開始させているようです。そして順次、何等かの役割、例えば、プリフェクト(寮の代表者のような生徒)といったような生徒たちが寮に戻り、留学生も米国在住の生徒たちよりも少し早く寮に入る段取りとなっていました。


ご家庭によっては、入寮の数日または1週間ほど前から米国入りし、家族で少し旅行したり、買い物したり、時差に慣らしたり、というようなことをしているようです。我が家は、家族の都合もありましたし、買い物は少しずつやればいいし、だいたいはオンラインですませて、残りは、授業開始前日の日曜日に一緒にお店にでかけようと考え、入寮の1日前に現地入りしました。


子供は緊張でガチガチで、親の私もいざ子供を手放すのかと思うとかなり辛い気持ちになり、こんなに緊張して気が重たい米国入りは初めての経験でした。


憧れていたボーディングスクールへの入学、きらきら、ウキウキと向かうものと思っていたのに、親子でじーんと重たい空気だったのは想定外でした。子供は、「行きたくない」とまで言い出しました。もちろん幼い子のような駄々をこねるのではなく、ここまで来たら行くしかないし、後戻りはできないのはわかっているが、逃げられるものなら逃げたいという心境だったのが痛いほどよくわかりました。

15歳になったばかりなのに、遠い外国で見知らぬ環境に一人で残る心細さを思うと、その時点で親としてもとても切ない気持ちになりましたし、本当にこのまま一緒に帰られたらどんなによいかとも心底思いました。


ホテルに到着し、本当は寮に入ったらなかなか行けないであろうレストランにでも行ったり、または買い物に行こうと思っていたのですが、さすがに精神的にも疲労困憊して結局ホテルから出られず。


ただ、入寮初日は、いざとなったらホテルに戻ろうという話にしていましたので、まだちょっと時間があるという気持ちでいました。


というのも、入寮初日はまだ、アメリカ人のルームメイトはいないですし、寮全体としてもまだ全員来ているわけではないので、その日はホテルに一緒に戻るのでもよいのではないかと考えていたのです。

その旨、事前に学校側に問い合わせていましたが、学校からは、寮に残るのを強くおすすめする、との回答でした。とはいえ、最終決定権はこちらにありましたので、状況をみて入寮日は荷物だけおいて、夜はホテルに戻ろうという話をしていたのです。



2. 入寮日の朝

学校へ行く時間は午後でしたので、午前は行きたかったお店やモールにいくことにしました。寮の部屋のベッドをデコレートするクッションやBed Throwを一番欲しがっていました。行きたくない、といいながらも、自分の部屋を他の子たちからうかないように、可愛くしようとする健気な姿が印象的でした。

欲張ってあちこち動き回ったので、いったんホテルに戻るとバタバタと学校へ。

タクシーの中は本当に緊張のかたまりでした。

キャンパス近く。素晴らしい気候に気持ちは少し明るくなる

3.レジストレーション

学校につくとどこに行くのが明確な案内があるわけでもなかったのですが、人がたくさんいる方へなんとなく行き、なんとなく列にならぶ、という感じでした。

ちなみに、荷物は車においたまま、レジストレーションに並びます。みなさん勝手がわかっているのでしょうか、私たちは勝手がわからず荷物をもって列に向かおうとしたら誰も荷物をもっていなかったので、慌てて荷物を置きに戻ったというバタバタもありました。


子供は、事前に登録した科目を変更するために、Academic Deanとアポイントメントをとっていたのですが、列に並んでいるとその時間に間に合わなそうでしたので、とりあえず列からはずれてAcademic Deanのオフィスに向かうことにしました。


といっても広いキャンパス。どこにいったらいいのかわかるはずもないので、近くにいた係っぽい生徒に聞くと、ちょうど留学生のサポートグループで、子供の連絡してくれたことがある生徒さんでした。アジア人の好青年。でも、その子もちょっと迷子になるぐらいオフィスがどこかわからなかったのですが、人に聞きながらやっとオフィスへ。


科目を変えられるかとても心配していましたが、とてもやさしく、子供がかつて行っていたアメリカの小学校の先生に雰囲気が似ているといってちょっと安心したようでした。


ミーティングがおわると、再びレジストレーションの列へ。ここで、パスポートやI20など重要書類をInternational Officeに預けます。ここで大事に保管され、必要なときに受け取るシステムだそうです。確かにパスポートなくした、なんてトラブルも起こり得ますし、安心なシステムです。


そして、なんとここで、合格発表の時に受け取るはずであったパッケージをもらうことができました。学校によっては、海外でもパッケージを送る学校もあったり、いっさい何も送ってこない学校と様々でした。ちょっとしたスクールギアが入ったパッケージをもらいちょっと嬉しかったようです。


あとでわかりましたが、レジストレーションの場所には校長先生もいてお出迎えしてくれていました。


アサインされた寮がわかると、また場所がわからないので、係の生徒さんをつかまえて一緒に寮までいってもらいました。


お部屋は思ったよりも広く、寮としては良い環境でした。寮の扉には、上級生からのウェルカムメッセージのカードが貼ってあり、机にもちょっとしたギフトやカードがおいてあり、歓迎するためにいろいろと準備していることがよくわかりました。


さて、ここで問題となったのは、二つあるベッドのうちどちらにするかということです。

ルームメイトは1週間ほど前に知らされており、SNSでやりとりをしていたのですが、事前にベッドはどちらでもよいと了承をとっていたので、さんざん迷ったあげく、奥側のベッドをとることにしました。


しばらく荷ほどきをしたり、メールルームに届いているAmazonで買った荷物などをとりにいったりしている間に、レセプションの時間となりました。


4. オリエンテーション


親子一緒で、オリエンテーションが行われました。留学生向けなので、留学生担当のオフィスの方がとりしきり、留学生の上級生たちがパネルディスカッションを行っていました。

子供は事前に学校から割り振られた同じ留学生グループにいて、少し連絡をとっていた香港の子に初めて会いちょっとほっとしたようでした。

あまり真新しい話はなく、雰囲気にのまれ話の内容はあまり頭に入らず、オリエンテーション自体は終了。今度は親はキャンパスツアーへ連れられていき、子供達は留学生の上級生たちにひきつられ、オリエンテーションということで、別行動となります。


5. いよいよ親子別行動へ

キャンパスツアーは、インタビューで訪問したときにも行っていたのですが、その時は、大混雑、かつあまりの早いペースでよくわからなかったのに対し、今回は、大人数ではありましたが、留学生生徒さんによるガイドでゆっくりとしたペースで見ることができました。

途中、他の親御さんたちとも会話をし、知り合うこともできました。

そして、キャンパスツアーが終わるとそのまま、レセプションへ。どうやら校長先生のお住まいの一角を使っていたらしいのですが、Finger Foodもふるまわれ、東京とはうってかわって爽やかな空気のもと、お庭で他の保護者の方々と歓談しました。

おそらく海外国籍の先生方も何人か出席されていて、少しお話もしました。


親御さんとはなされていると、私は一人を送り出すだけでも、精一杯な気持ちになっていたところ、2人も3人もと全てのお子さんを送り出しているご家庭もあり、その強さ(と経済力に)圧倒されていました。

なかには一人っ子さんを送り出すというご家庭ももちろんあり、一人っ子ならばなおさら親御さんのお気持ちはどんなだろうか、と興味をもってお話を伺っていました。


だんだんと終わりに近づき、子供と合流しなくてはと思い始めた頃、他の親御さんから、子供達はどうやら今街までいって帰ってくるところらしいという話を聞きました。


子供の携帯電話の契約をしていなかったので、連絡とれずとりあえず寮の入り口のところで帰ってくるのを待っていました。

が、なんと既にDining Hallに行って夕食をとっていたようです。なんとか合流してDorm Headに夜のことを相談すると、夜はDormでアクティビティがあり、お互いを知るためにとても重要だからいてほしい、ということでした。ですが、子供は強くホテルで寝ることを希望していたので、アクティビティがおわる9時30頃にまた迎えにくることにしました。


がらんとした寮の部屋に一人で寝るのはそれはしのびがたいことかと思います。私も少しでももっと子供と一緒にいたいという気持ちでいっぱいで、またあとでね、といって私はいったんホテルに戻りました。


そして、迎えにいくったら、駐車場まで一人でおいでという話になっていましたが、Dorm Headが私が寮の入り口まで行く必要があるとのことでした。入口で、ついたよ、と連絡すると、Dorm Headが入り口まで子供と一緒に出てきてくださり、「真っ暗闇の中一人で放り出すわけにはいかないから。」とおっしゃっていました。私たちの我がままな行動だったにもかかわらず、状況を理解してくださり、さらにしっかりと責任をもってくださっていることがわかり、とても安心しました。


ホテルに戻ると、正直アクテビティはいてもいなくてもよかったけれど、という話もしましたが、今度は大泣きで行きたくない、もう帰りたいと言い、特にDinnerが美味しくなかったようで、こんなところで生活できないと弱音を吐いていました。


私もとてもつらく、今振り返って思いだすととてもつらい気持ちになります。

子供にはとにかく来月には会いにくるし、ここまできたのだから、どんなものか見るだけみて、嫌だったらいつでも帰ろう、と話しました。

洗った髪の毛を乾かす気力もないようで、小さい時はこうやって乾かしてあげたけれど、こんな日がこんなに早くくるとは思わなかった、と思いながら、ドライヤーで髪を乾かしてあげて、一緒のベッドで寝ました。


そんな弱音を吐いていた子供ですが、私としては、子供がこちらの学校が気に入ってずっといたがるのは目に見えていましたし、そうしたら一緒に住むことは本当にこの先なくなってしまうのだ、という怖れと心の底で闘っていました。

この時は、もう気持ちがいっぱいいっぱいで、子供がなんといっても1年で帰らせよう、1年で帰りたいといってほしいという気持ちでいっぱいでした。でも心の中では、怖く感じるのも最初の数日で、すぐにこちらの生活が気に入ってもう帰りたくないというだろうというのも目に見えておりました。


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